現在、夏の甲子園の真っ最中でありますが、今年の大会での大きな話題の一つと言えば、やはり広陵高校のこと(JBpressの記事はこちら)でありましょうか。
ものすごく要約すると、広陵高校野球部で暴力沙汰があり被害者は転校し加害者は甲子園に選手として出場したことについて当該暴力沙汰を被害者の関係者がSNS上で暴露して炎上、広陵高校は一回戦を突破したものの二回戦は辞退しました、というものです。辞退の際の学校長の記者会見の台詞が、被害者に寄り添っていないとして更に炎上しており、二回戦を辞退したものの騒ぎはしばらく続きそうな感じ。
学校側の対応はもちろん、かなりまずいものでした。高野連もあまりことの重大性がわかっていなかったようで、ネット上ではかなり叩かれています。
このため中にはエスカレートして寮の爆破予告だの関係ない生徒へのつきまといだの、妙なことが頻発したようで、学校としては生徒の安全を守るって意味では正しい判断だったのかもしれませんが、それにしたってタイミングはかなり悪いですし、確かに被害者に何かしら言及したわけでもなく、そらイメージは悪くなることでしょうね。
これをとらえて、テレビをはじめとするいわゆるオールドメディアへの反感もすんげぇ勢いで広がっているようです。
ですがコレ、私にはSNSが無かった昔と何がちゃうねん、という気がするんです。
SNSで悪い評判が流れてトンデモない勢いで社会全体からドツかれる、ということなんですが、「SNSで」って所をちょいと変えてごらんなさい。「世間で」とでもしましょうか。昔でも、例えばテレビで何か悪いニュースが流れて、「悪人はコイツだ」的なことを報道されてしまうと、そこへ凸る人たちってのが表れてました。中には殺人事件にまで発展したようなケースも。
世の中ってのは「正義」に飢えてるんじゃないですかね。圧倒的な多数の正義の側に立つことができれば、「少数の悪」をドツキ回すことができちまう。「アイツは皆が悪い奴と思ってるから何をしてもOK」となると、ここぞとばかりに避難轟々です。
SNSは、それをもっとやりやすくしちまったってだけです。良いとか悪いとかは別にして。
もっと古い時代のことを考えてごらんなさい。例えば魔女裁判。あいつ魔女だぞ悪い奴だぞとなると、火あぶりとか吊るし首にして見世物にしてたんです。アイツは魔女だと、安全なところから罵声と石を投げつけて最終的には殺しちまうのを見て喜んでいるわけですが、今回の広陵高校の炎上騒ぎにしても、これに似たようなものを感じるんですな。
これに関しては真実すらどーでもよくて、「大勢がアイツは悪いと言っている」という所を見誤りさえしなければ、後は気持ちよく正義の人として悪人を断罪(するフリを)して悦に入ることができるわけ。
さすがにやりすぎよって主張も見られます。冷静になることはとても大事ですが、世の中の全ての人がそんなに冷静にはならないでしょうよ。だって正義は気持ちいいんですもん。
もちろん、この件での被害者は救済されねばなりませんし、クソな隠ぺいとかは許されるべきではありません。でもそれに便乗して非難するだけではなく爆破だのなんだのと脅迫にまで至るのは、そら違うだろっつー話です。
テレビにおいて、このような煽る報道に関しては、かなり時間をかけて馬鹿げた煽りにならないよう自制的になってきていると思います。それらと同じようにSNSにおいても当然、行き過ぎはいかんってことにいつかはなるんでしょうが、それにしても当面、こんなことに巻き込まれないように気をつけるしかありません。
それに、多少マトモになったとしても、クソ正義屋はゼロにはなりません。なんと言っても魔女狩りの時代からずっと生き残り続けている由緒正しい正義屋ですから。
っつーことで、ネットでの発言には気をつけましょうね。
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